カテゴリー別アーカイブ: 吞海俳句

2018/10 呑海俳句

敗戦日海図に波が立ち上がる

英霊の登舷礼や雲の峰

たつぷりと夜の紅茶を百猿忌

新涼や上七軒の路地明り

夏の蝶大海原へ押して行く

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呑海俳句2018/09

神保町闘魚がジンを呑んでゐた

シャンパンに午後のひかりやバルコニー

海の日に海鳴り聞こゆジンライム

遠花火父の未完の肖像画

サーフボードかの日の波を待つてゐる

呑海俳句2018/08

夏至白夜クルーズ船のジャズピアノ

基地の空飢ゑてゐるなり沖縄忌

在日米軍へ上目遣ひの暑さかな

浜昼顔過去の過ぎゆく無人駅

夏至の雨アイリッシュパブの窓明り

呑海俳句2018/07

リラ冷えやクレージーホースの楽屋口

寺山忌流離の果ての非常口

白南風やトランペットの慰霊祭

それぞれの海にヨットの走る日よ

けふもまた桜蘂降る母の椅子

呑海俳句2018/06

花の雨きのふの海の昏れ切らず

かざぐるま失くした時間がこぼれ落つ

海からの手紙来てをり春の月

いつぽんの桜の吹雪く父の椅子

父の樹の桜浄土となりにけり

呑海俳句2018/05

淡雪や時間の束を見てをりぬ

春光の昭和のこゑや父の椅子

擦り切れたデッキシューズや風光る

本牧のジュークボックス春の雨

かざぐるま母の昭和が哭いてゐる

呑海俳句2018/04

日脚伸ぶコインランドリーの赤き椅子

風のこゑ鷹のこゑある父の天

帆走の彼方に父の寒北斗

デモの雪神保町の暮れゆけり

VANジャケツ「さぼうる」辺り逆光す

呑海俳句 2018/03

父の樹のはるけきこゑを恵方とす

父の樹の大きな空や御代の春

G線上のアリア水なきプールに年逝かす

冬薔薇いつもの海を見てゐたり

母の灯や山茶花ちらしの雨が降る

呑海俳句 2018/02

少年が俺の枯野で泣いてゐる

新宿の荒野に置き去りのポインセチア

帆柱の突き抜けて行く冬の虹

江ノ電や父のマントが立つてゐる

歳晩やマリンブーツのつけし跡

呑海俳句 2018/01

かりがねや高層街のショットバー

逝く秋や帆(セイル)に残る日のにほひ

ジャズメンの時雨るる午後や基地の街

わが艇(ふね)の吹かれて長き冬銀河

秋霖の底に灯のあるショットバー